ECHO/エコー

JAIHOで再配信されてたアイスランドのルーナ・ルーナソン監督『ECHO/エコー』(2019年)を見る。

 

サイトの解説にもある

「クリスマスから年明けまでを美しいポートレートとして描いた」

という文から、これまた甘ったるい映画になっていたら嫌だなあ~と思いつつ、上映時間が79分という短さに惹かれて(笑)見たのだが、これが思った以上に甘くない映画だった。

クリスマスから年明けにかけての様々な光景、全部で56の場面を描く。各場面に共通して出てくる人物はなく、それぞれの人々のそれぞれの一場面が淡々と描かれていく。

正直言って、「このやり方は今回だけですよ~」と思わなくもないんだけど、ただこの56の場面の画面の捉え方、ひとつひとつのクオリティはなかなか高いなあと思った。これがロイ・アンダーソンだったら見事に造られたセットで寓意的に描いて見せるところだが、こちらは画面の構図や人物の配置も的確でありつつリアルな感触があって妙に生々しい。そして話自体も、暖かさを感じるのもあれば、苦味や厳しさを感じるものも多くて、全体を通して見ると甘ったるくないのだ。ふと『いのちの食べかた』『眠れぬ夜の仕事図鑑』あたりのニコラウス・ゲイハルターの映画のタッチをちょっと思い出したり。

ところでこの映画、2019年の作品ということで、コロナ絡みの話は当然まだ出てきていないんですね。「ああ、そうか~、そうだよね~」と、見終わって改めて感じ入ったりもして、なかなか見応えのある映画だった。